めくるめくメルク丸

ゲーム/哲学/人生

もっかいありがとう、『moon』。(switch版配信に寄せて)

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今朝、起き抜けにいつものようにスマホを手に取ると、フォロワさんからリプライが入っていた。 

寝ぼけ眼で、思わず「夢かな?」と疑ってしまった。『moon』がswitchで配信される——いかにも夢っぽい話ではないか。

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タイムラインを追ってみる。午前中に配信されたNintendoDirectで『moon』switch配信が電撃発表されたらしい。

YouTubeで遡ってニンダイを確認する。たしかに夢ではないようだ。『moon』のメイン開発者の1人である木村氏率いるオニオンゲームズの公式サイトでもすでに告知されていた。

oniongames.jp

しかし今回のswitch配信はまさしく「青天の霹靂」である。業界関係者以外で予想していた者はまずいないだろう。『Black Bird』『勇者ヤマダくん』の2作品がswitchに移植配信されていたことから『moon』メイン開発者である木村氏が自身の作品をswitchに供給する気がたっぷりあることは伝わっていたけれど、まさか『moon』が出るとは……!夢にも思わなかった。

というのも、『moon』の版権は依然ASCIIが持っており、現行ハードへの移植は絶望的であろうと喧伝されていたし、キーマン西健一氏(僕がもっともリスペクトしているゲームクリエーターの1人。最近はゲーム作っていないみたいだけど、ずっと応援してる)の『20年めのmoon座談会』への不参加、また昨今の活動から鑑みて、ラブデリック時代の作品に対してあまり積極的とは思えなかったから。

要するに、「ひどくこみいってそう」だったわけだ。

news.denfaminicogamer.jp

しかし、事実は事実だ——『moon』は再来月10月10日、switchで配信発売される。

まずはスマホ移植でなかったことを心から喜びたい(『風来のシレン』のようなことになったら目も当てられない)。リメイクの類ではなくてベタ移植のようだから、不安要素もない。強いていえば、『moon』は媒体がCD-ROMだったからこそ描けた世界であり(ネタバレになるのでこれ以上は語れない)、DL版ではムーンワールドを充全に表現できないってことくらいだが、この僥倖に対してそんなことを言うのも野暮というものだ。外の現実世界に『moon』を持ち出せることをこそ奇跡と思うべきだろう。

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いやいやいやー。それにしても『moon』であります(しつこく)。

自慢ではないが、僕はオフィシャルガイドブック(CB'S PROJECT編)を未だに枕元に置いて寝ているような古参ファンである。それを誇示するかのようにサムネも『moon』主人公(少年)であるし、さらに言えば本名までそんな感じだ(これは運命的な偶然だが)。ゆえに、今回の配信決定に対して感慨も思い出すことも言いたいことも控えめに言ってまだまだ1000000ネカくらいはある。そういう方はきっとたくさんいらっしゃるだろうけど……。

そういうわけで、蛇足を承知でもうちょっとだけ書かせてください。

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「愛とは何か?」

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こんちは、わいはヨシダや。

『moon』はな、そんなでっかい問いを時速200kmで投げかけてきた作品であり、90年代末期、数多のゲームファンたちに『ゲームとは何か?』さらには『現実とは何か?』そんな本質的な問いをもたらした唯一無二の哲学的な触媒でもあったんよ。

ほいでな、この作品は既存のRPGに対する強烈なカウンターであり、優れたキャラゲーであると同時にな、現実の意味をすっかり変えてしまう危険ドラッグでもあるんや。

どんなところが? それについてはとにかくやってもらうしかないわ。

とにカクンテ、わいとしては、今回の移植は古参ファンを喜ばせる「タイムカプセル」としてよりも、これまで『moon』をプレイしたくてもできなかった人たちや、今作を知らなかったゲームファンたちが出会える最良の機会になってほしいとせつに願っとる。

ほんで、今後海外のゲームファンにもswitchというハードを通して『moon』をプレイしてもらえることがめっちゃ嬉しいんや。『Undertale』や『MOTHER』をこよなく愛してやまない海外ゲームファンは間違いなく卒倒するで、これ。

この殊玉の作品にまだ触れとらんゲームファンが日本にも世界にもたくさんおって、彼らにもうすぐ『moon』が届くことを思うと……自然と胸に熱いものがこみあげてくるんや。

まあ、わいのようないち古参ファンとしては、今回のswitch版配信に至るまでの経緯と所感を木村氏を初めとするスタッフの方々に(願わくばまともなメディア——たとえば電ファミに)ロング・インタビューしてほしいで。

あと、西氏には今回の移植のことをブログでさらっと流すだけじゃなくてな、も少し語ってもらえると嬉しい(いうても、今回の移植に言葉少なめな西氏に対して、ある種の誠実さを感じてもおるんやけど)。

www.route24.jp


わいはな、今でも落ち込むことがあるとな、使い古したモニタにPS3繋げて『moon』のディスク入れて愛すべきムーンワールドに足を運ぶんよ。そこで懐かしい住民たちに再会してな、いろんなこと思い出したり、改めて考えたりしてた。なんでかっちゅうと、それは未来の自分にまっすぐに繋がってるんや。ほんで、再来月からはそれをswitchでできるんやで。今だに信じられへん。

『moon』はお前さんの人生(観)をすっかり変えちまうかもしれん。それが良いことなのかそうでもないかは知らんけど、この作品には発売から20年以上経ってもそれだけの力がぎょうさん宿っとる。わいは人間じゃなくて鳥だけどな、そう確信しとるんや。

もっかい、ありがとさん、『moon』。

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