めくるめくメルク丸

ゲーム/哲学/人生

PSVR2 発売日購入レポ

昼すぎ、Sony StoreからPSVR2が届く。同梱されている『Horizon Call of the Mountain』はダウンロードに時間かかりそうなので、後回しにしてさっそく開封。

開封し、本体を持ってみた印象は「軽!」。しかしサイトで確認してみると、PSVRから40g程度軽くなっただけのようだ(600g→560g)。
Oculus Rift Sとほぼ同じくらいの感じで「めちゃくちゃ軽い」というわけでは全くないのだが、PSVRや初代Meta Questを装着した時のような「軽度のつらみ」を感じるような重さではない(ここには凄くビミョーな分水嶺があると感じる)。片手で持ってみて「おっ、これならいけそう」という絶妙な重量感だ。

セットアップ〜装着感

初代PSVRの、何かの儀式のように七面倒なセットアップを経験した者からすると、セットアップは劇的に楽だった。PS5前面にUSBCケーブルを挿し、Senseコントローラー(これ、もう少し気の利いた名称にできなかったのだろうか)を登録し、ヘッドセットを装着したままいくつかの設定を済ませるだけ。開封〜装着〜プレイまで、8分くらいで済んだ気がする。そのあたりやPSVR2の詳細な機能など、IGN Japan誌での渋谷宣亮氏の細やかなレビュー記事に詳しい。

ヘッドセットを頭に装着し、自分にとって適切な位置・視座の設定を掴むのは(解りやすいチュートリアルで導いてもらえるものの)少々困難を伴ったが、これはどんなVRデバイスでもおおむね同じだろう。
PSVR2も前機種
PSVRで推奨されていたように、後頭部中心よりもやや下に後部バンドを固定して(ダイヤルで"締めつけ"を調整することができる)、それを元に、前面レンズの位置などを調整するのがもっとも良さそうである。

(註・後述するが、筆者は上記装着方法だとゴーグルの縁が視界に入ってしまい、『Rez Infinite』のようなゲームでは著しく没入感を添いでしまうように感じた。その後、後部バンドを後頭部中心よりも上方に固定し、ゴムの「ゴーグル部分」を目の周辺に「より、押しつける」ようにセットすることで、ようやく『Rez Infinite』の世界に入りこんだような心地を得ることができた。プレイヤーそれぞれに望む見え方・視座が異なるはずなので、頭の形やタイトルによって、装着方法をフレキシブルに変える必要があるだろう)

ヘッドセット重量バランスと"スキマ"問題

PSVR2は、Oculus RiftやQuest2と比べて本体重量のバランスがすこぶる良いと感じる。前面に集中した重みで、じょじょに頭が前のめりになっていくようなことがない。
筆者は2時間以上連続してプレイしたが、プレイ後の首の疲労感も初代PSVRやOculus Quest2と比べると著しく少なかった。ここは、首の筋肉が欧米人よりも平均的に弱いであろう日本人に最適化してくれているような印象がある。さらにゴーグル下部の「隙間」が没入感を添いでいた(アジア人の顔の形に由るものと言われている)Meta Questシリーズとは違って、完全に覆ってくれるのが実にありがたい。正直、あの隙間は没入感がキモである「VR」というデヴァイスにとって致命傷と感じていたから。

"最初の1本"『Rez Infinite(アップグレード版)』

記念すべきPSVR2初プレイ作品は『Rez Infinite』アップグレード版と決めていた。理由はきわめてシンプルで、前機種PSVRの時もこの作品を最初にプレイしたから(PSVRは本作をプレイするために買ったようなものだった)。

のっけから明らかに画質が良くなっているのがわかる。ほとんど「別物」と言っても良いくらいくっきり鮮明になった。エリアが進んでいくと、「この光のセグメントはこんな造形をしていたのか、こんなに幾何学的でカラフルだったっけ?……といったような素朴な発見と感動がそこかしこに溢れてきた。

BGMは前作と比べて音質こそ違いを感じなかったが、同梱されているイヤフォンを別売りのものにすればかなり変わってくるのだろう。しかし、初代PSVRと違って音量調整ボタンがヘッドセット側に備わっていないのは明確にマイナスポイントと感じた。また、最大音量がPSVR版より小さくなった気もしたが、これはソフト側の設定かもしれない。自分は高めの音量でプレイするのを好むため、基本は最大音量にセットしているが、タイトルによって調整が必要だろう。

Senseコントローラー所感

専用コントローラー「Senseコントローラー」も、やはりOculus Rift S/Meta Questシリーズに酷似している。スティックやボタン配置はDual Senseの延長にあるので操作に違和感がない。このタイプのコントローラーに必須であるモーションセンサー機能も申し分ないが、ホーム画面でもポインティング・レーザーで選択できるMetaシリーズに比べると今のところあまり使う機会がない。Switch分離型ジョイコンのように、Dual Senseの代わりに非PSVRのゲームコントローラーとして使えるとありがたい。(←ホーム画面の操作とVR対応ゲーム以外では使えないようだ)

余談だが、PSVR2にしてもMeta Questにしても、この手首全体を覆う半円のような形態はかさばるので、あまり好みではないのだが、PSVR2もこの形に落ち着いたのは工学上の必然なのだろうか(なのだろう)。

「視野にゴーグル縁」問題

(※以下、前述したヘッドセットの装着方法によって幾分改善されたが、初プレイ時の所感として残しておきます)

『Rez Infinite』プレイ中、画質も操作感も明らかに向上しているのに、何かPSVRのプレイと比べて没入できないというか「"そこ"に入りこんでいる感覚」が希薄なことに、プレイ後すぐに気づいた。それはゴーグルの端の黒縁が、終始視野に映り込んでしまっていることに由るものだ。
これは、自分が当時よりも「ヘッドセットを被っている」という状態に自覚的になってしまったからなのか、あるいはPSVR2の設計によるものなのかはわからない。ただ、初代PSVRで初めて『Rez Infinite』をプレイした時の、あの宇宙に自分がすっかり放り出されたような希有な感覚をどうも得られず(それこそが『Rez Infinite』においてもっとも愛していた感覚なのだが)、PSVR2版では「宇宙船コックピットから宇宙飛行士を眺めているような」プレイ感に変わっていた。『Rez Infinite』はRift S/Quest2でもプレイしているが、件の「スキマ問題」こそあったものの、この「ゴーグル黒縁映りこみ感」はなかったように記憶しているのだが。前機種
PSVRを引っぱり出して比較すればはっきりするのだろうが、自分のPSVRはすでに夭折してしまっている。多くの経験者の意見を聞いてみたいところだ。

『Tetris Effect: Connected』をプレイ

続けて『Tetris Effect: Connected』(アップデート版)をプレイ。こちらも画質アップは一目瞭然だが、360度ユニバーサルに動き回り、視界も目まぐるしく変わる『Rez Infinite』と比べると、グラフィックに対してそこまで大きな感動はなかった(これをプレイした後にPSVR版に戻ったら物足りなさを感じるだろうが)。やはり『Rez Infinite』というタイトルは自分にとってかなり特別なのだろう。細かいプレイ感の違いがいちいち気になった。何にせよ、両タイトルとも1000円でアップグレードできるのだから、PS4版を所持しているファンはプレイしない手はないように思う。所有していない方も、アップグレード版『Rez Infinite』と『Tetris Effect: Connected』をぜひ。ある意味、リリースから数年経っても今なおもっとも「VR」を感じることのできるタイトルだと固く信じている。

映画/ドラマ鑑賞の快適性

2時間半の『Rez infinite』『Tetris Effect: Connected』ゲームプレイ後、『Kayak VR:Mirage』をダウンロードしつつ、Netflixで映画/ドラマを流し観る。映画/ドラマ好きの自分にとって、VRによる映画/ドラマ鑑賞はかなり重要な機能である。しかし前機種PSVRやMeta Quest2ではヘッドセットを被って2時間以上映画鑑賞すると、外した後に首や頭、背中が痛くなり、眠れないことも少なくなかった。

嬉しいことに、PSVR2では高画質で映画やドラマが観られる上に、身体的ダメージもこれまでのVR機器と比べると著しく少なそうである。「シネマティックモード」で画面サイズを変更することも当然できるので、動画鑑賞用ヘッドセットとしても個人的にかなり重宝することになりそうだ。また、PS5で所有している非VR対応ゲームや古いアーケードゲームをヘッドセットでプレイすることも初代PSVRより快適になることは間違いないだろう(アーケードアーカイブスタイトルをPSVRでプレイすることに至上の喜びを感じている友人がいるので、薦めたい)。

PSVR2体験3時間所感・まとめ

このあたりで、いったんPSVR2初回体験記を終えたい。

冒頭に書いたことの繰り返しになるが、自分のPSVR2体験の最初の所感は(画質とスキマ以外は)Oculus Rift Sに酷似しているな、というものだった。初代PSVRをRift Sの進化版を青写真としながらバージョンアップさせたような印象である。もし自分が初代PSVRからVR機器を、具体的にはOculus Rift Sを体験していなかったら、その進化にさらに驚いたであろうことは間違いない。

また、もしPSVR2がもう少し軽量だったか、Rift S/Meta Quest2並みの内蔵スピーカーが備わっていたら——まだPSVR2専用ソフトを1本もプレイしていない今の状態でも——心中で満点をつけていただろう。Oculus Rift S/Meta Quest2の、イヤフォンを接続せずともかなりの臨場感が得られた内蔵スピーカーは、VRを日常に溶け込ませる上でかなり重要な機能であったように思う。

代わりに(と言うべきか)PSVR2に内蔵されている、振動機能は……どうなのだろう? もしこの機能によって重量が増えたのであれば、むしろ省いて軽量化するか、内蔵スピーカーをつけてほしかったという気持ちを拭い去れないところはなくもない。
しかし(言うまでもなく)そんなことは開発者たちによって幾度となく検討・検証されたはずで、これがSIEのVRに対する2023年の答えなのだ、と思って真摯に受けとめたい。

いちPSVRファンとしての結論。再高画質にアップデートされた『Rez Infinite』と『Tetris Effect Connected』をプレイし、快適な映画/ドラマ鑑賞の予感を感じられただけでも、PSVR2は(けっして安くはないものの)意をけっして購入する価値のあるデヴァイスだと思う。

ただ、使っているうちに印象もおそらくどんどん変わるだろう。次回はPSVR2専用ソフト『Horizon Call of the Moutain』や『Kayak VR:Mirage』『ディスクロニア:CA』あたりをプレイしつつ、改めてPSVR2という最先端VR機器の特性について書きたいと思います。ラブムー